第2種電気工事士の筆記試験に向けて勉強していく中で、特にわかりにくいところについて、紹介します。第2種電気工事士に挑戦
回路に過大な電流が流れたときに、自動的に電気回路を遮断してくれるのが過電流遮断器である。安全のため、分岐回路にもそれをつけないといけない。幹線との分岐点からその過電流遮断器までの間に施設する電線の許容電流を求める問題がよく出題されているので紹介する。
分岐回線の許容電流
2019年下期の第2種電気工事士の筆記試験の問題である。定格電流50Aの過電流遮断器が幹線に接続されている。その線から分岐して7mの位置に別の過電流遮断器を設けた時のa-b間の電線の許容電流の最小値を求める問題である。
実際の工事では、配線の先端に行くほど電線を細くできますが、この分岐線で許される電線の太さ(許容電流)はいくら以上か?という問題である。電線を細くしすぎると発熱が激しくなる恐れがあるのでこの規定がある。
電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)の第149条から解釈すると
基本的には
①原則として、分岐点(図の a点)からを3m以下の場所に過電流から保護するために過電流遮断器を取りつけなければいけません。(図の a-b間を3m以下にしないといけない)
ただし、分岐点から過電流遮断器までの距離(a-b間)が3m以上でも次の条件をクリアすれば設置が可能になります。
②「分岐点から過電流遮断器(図のa-b間)までの電線の許容電流」が「幹線の過電流遮断器の定格電流」の35%以上の場合は8m以下に施設が可能。さらに、③55% 以上の場合は、どこに施設してもよい。
分岐点から過電流遮断器の距離(図のa-b間) | (電線の許容電流÷幹線の過電流遮断器の定格電流)✖100 |
3m~8m以下 | 35%以上 |
8m超 | 55%以上 |
距離が大きくなると電線の許容電流が大きくなり、電線の太さを大きくしないといけなくなっている。
図の問題を解いてみると、
分岐点から過電流遮断器(図のa-b間)までの距離が7mなので電線の許容電流は、幹線の過電流遮断器の定格電流(50A)の35%以上でないといけないので、50✖0.35=17.5となり、答えは17.5Aとなる。許容電流が17.5A以上の電線を使わないといけない。
もし、仮に距離が8mを超えた場合は、50✖0.55=27.5Aになり、太さ1.6mmの電線の許容電流が27Aと決まっているのでよく使用する1.6mmの電線は、使えなくなる。
分岐幹線なら過電流遮断器の施設を省略できる
誤解をされやすいが、電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)の第189条によると主幹線からの分岐幹線の場合に過電流遮断器の施設を省略できることである。分岐幹線と分岐回路は、違いがあるので間違えないようにしたい。しかも、省略できる条件が、3m~8m以下なら35%以上、8m超なら55%と分岐回線の許容電流と同じである。こちらは、過電流遮断器が省略できる条件であるので混乱しやすい。