【テント泊】比婆山連峰縦走コースの魅力と登山道に咲く花

登山・ソロキャンプ

 中国山地の比婆山・吾妻山周辺は、広島県立県民の森(広島県)として整備され、キャンプ場や宿泊施設もある。また、島根県側にもキャンプ場が整備されている。
 今回、公園内の9つ山すべてを登る縦走(約24km)コースや比婆山古道、テント場の大膳原野営場について紹介します。また、コースでの見どころや登山道の脇に咲く花についても紹介します。

比婆山古道·吾妻山·テント泊 / やまがえるさんの烏帽子山(広島県庄原市)伊良谷山比婆山(広島県)の活動データ | YAMAP / ヤマップ

比婆山連峰のおもな山9座

①竜王山1255 m車道あり
②立烏帽子山1299 m最高峰 頂上は狭い
③池の段1279m360°の見晴らし
④御陵(比婆山)1264 mイザナミの御陵
⑤吾妻山1240m花の宝庫
⓺烏帽子山1225 m頂上は広い
⑦毛無山1144m頂上はかなり広い
⑧伊良谷山1148 m頂上は狭い
⑨牛曳山1144 m頂上は狭い

登山道がいくつも整備され、コースの選定は状況により自由に計画できます。詳しくは上記のYAMAPの地図を参考にしてください。

大きな駐車場があるスタート地点は、以下の2か所です。
県民の森 公園センター(六の原地区)【宿泊・レストラン・キャンプ場・スキー場】
休暇村吾妻山ロッジ(池の原地区)【21年3月末で閉鎖・キャンプ場のトイレは使用可】

大膳原野営場(テント場)

大膳原野営場

 県民の森の公園センターにキャンプ場はあるが、車では、直接行けない、きれいに整備されたテント場がある。島根県側の施設になる大膳原野営場である。立派な避難小屋、トイレ、水場、炊事場がある。利用は無料である。非常にありがたい施設である。テント場は2か所に分かれていて、奥(やや狭い)にもある。秋の3連休の初日に泊ったことがあるが、10組ぐらいしかいなかった。十分余裕がある。平日なら自分が一人の時もあった。ここに1泊する計画をおすすめします。

見どころ

コース内で楽しめるおすすめポイントを紹介します。

イザナギ伝説と巨石

 『古事記』に、女神イザナミを「比ひ婆ば之の山やま」へ葬ったと記述があります。その伝説地は、広島・島根・鳥取3県に約10ヶ所が知られ、この比婆山もその一つです。

 比婆山(御陵)周辺には、巨石が所々見られる。それぞれの岩に伝説と関連付けられた名前が付けられています。巨石めぐりもおもしろいです。

巨石、イチイの大木、ブナの巨木、そして深い山が聖域にふさわしい神々しさを形作っています。

比婆山古道

 比婆山古道は2011年に60年ぶりに復元された登山道です。かつては、この道は御陵へのお参りの最短の参拝道でした。急登だけど林道からの距離が短いこのルートが栄えていた。(表参道の熊野神社から御陵までお参りするのは、距離がある。)しかし、県民の森が整備され、登山のメインルートは公園センターのある六の原地区からになっていた。

雪山トレッキング

 ひろしま県民の森は、冬でもレストラン・宿泊施設を営業している。さらに、スキー場もあるので国道・県道は除雪されていることが多い。公園センターへ車を停めて、雪山を楽しむことができる。

吾妻山(池の段から撮影)
御陵(池の段から撮影)
伯耆大山が見える(池の段から撮影)
石鎚山(四国山地)が見える(池の段から撮影)

ブナ林(国の天然記念物)

 比婆山は、ブナ林が有名である。特に、御陵の頂上付近は、ブナ林の純林が国の天然記念物となっている。紅葉もみごとである。スキー場からの登山道や、比婆山古道にも、ブナの大木がある。鳥のさえずりもさかんに聞こえる。

イチイの木

 比婆山(御陵)の頂上付近にはイチイの木の大木が数十本残っている。御陵を囲む木として保護されてきた。(庄原市指定記念物イチイ群 庄原市HP

イチイ 常緑針葉樹

たたら製鉄

 中国山地は古くは「たたら製鉄」がさかんであった。県民の森の中に六の原製鉄場跡(たたら跡)がある。(広島県のHP)砂鉄の採集や製鉄の遺構が残っている。明治時代初期まで周辺の山の土を崩して水に流して(カンナ流し)砂鉄を採取し、周辺の木を大量に切って、燃料にして鉄を作っていた。
 毛無山は、伐採されたのでこの名前が付いたのであろう。草原になってからは、牛の放牧に利用されていった。毛無山や伊良谷山の樹木には、大きな木が少なく、若い木が多い。草原から林に変わっていった。
 池の段と吾妻山も、たたら製鉄のため、木が伐採され、草原になったと思われるが、頂上付近は、今も草原が残っている。風雪が強くて大木になりにくいところである。
 山が深く高いところや御陵の神聖な場所は、伐採が免れ、ブナなどの天然林が残ったのだろう。
 吾妻山ロッジ前の3つの池は、カンナ流し用に作られた人工の池である。
 ふもとに近いところは昭和になってスギが植林されていった。

①スギ林(植林)、②元草原だった新しい林、③ブナ中心の林(天然林)、④草原 などを意識しながら観察して歩くのも楽しい。

吾妻山、竜王山の岩石

 吾妻山と竜王山の頂上付近だけ、アルカリ玄武岩でできている。新生代(中新世)に噴火してできた火山がやがて浸食され、マグマが地表に上がってきた通路の部分だけが残丘として残っている。(他の山はもっと古い火山岩【流紋岩】)

岩石の違いを観察しながら歩くのも面白い。

シラカバ林

 県民の森の中に、シラカバの木が数十本植えられている。白い幹は、他では見られない。隠れた撮影ポイントである。シラカバは西日本には自然には、生えていない。公園センターから牛曳山へ向かう登山道に植林されている

吾妻山と池の段の花

どちらの山も山頂付近は草原になっているので、いろいろな野草が季節ごとに咲き誇っている。春から秋に登山道の脇に咲く花の写真です。

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