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【ふしぎ発見】水路に大量の貝(シジミ)の死骸【外来生物】

タラの芽 自然観察

 近所を歩いていたら、水田の横のコンクリートの水路の水底にたくさんの貝の死骸を見つけました。さらに底の土を掘ってみるとたくさんの貝がいました。

 実は、タイワンシジミという外来生物が大繁殖中です。すごい密度で生活しています。その死んだ貝殻も大量に水路にたまっています。

タイワンシジミが生息していた水路

水田と道路の間の水路

水路で発見したタイワンシジミ

砂の中に生きているシジミが大量に

この貝の名前は何ですか?

やまがえる先生
やまがえる先生

この貝は、シジミですね。淡水にすむシジミの仲間です。

シジミといえば、よくスーパーで売っていますね。その貝ですか。

やまがえる先生
やまがえる先生

同じ仲間ですが、違います。よく食べるのは、ヤマトシジミといって宍道湖などでよく採れ、汽水(海水と淡水が混じった水)でしか生活できない貝です。この貝は、淡水に住む別のシジミです。調べてみましょう。

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日本の淡水シジミ

 日本には、淡水シジミの種類は2種類生息しています。マシジミとセタシジミの2種類です。マシジミは、全国に分布し、セタシジミは琵琶湖の固有種です。

生徒
生徒

それじゃ、この貝は、マシジミですね。

やまがえる先生
やまがえる先生

それが、違うんです。外来生物のタイワンシジミです。

マシジミとタイワンシジミ

 タイワンシジミは、中国や台湾などに住む二枚貝であるが、外来種として日本に、入ってきて、野生化したと考えられています。最近、まわりでシジミがよく見られるようになり、自然が復活したと話題になるものの多くは,実はタイワンシジミなのです。タイワンシジミは、マシジミに替わって急激に分布を拡大しています。

 2種類の貝の見分け方は、少し難しいですが、殻の内側の色の付き方で見分けられます。

マシジミタイワンシジミ
原産国日本中国、台湾など
生息場所現在は人の影響の少ない谷筋公園や水田の水路など身近な場所
繁殖力(精子の量)少ない多い
見分け方殻の内側は紺と白の濃淡、その外側は黒褐色殻の内側が白のタイプと紺色のタイプ、紺色のタイプの殻の外縁内側が黄褐色
マシジミとタイワンシジミの特徴

詳しい見分け方は、こんあそぶろぐさんのブログが大変参考になります。

急激に分布を広げるタイワンシジミ(外来生物)

 タイワンシジミの繁殖力が旺盛な理由は、特別な繁殖の仕方をするからです。マシジミやタイワンシジミは、受精の時、精子の遺伝子だけが遺伝します。(雄性発生という)さらに、マシジミよりもタイワンシジミの方が大量の精子を生産するため、タイワンシジミの精子をマシジミが取り込んでしまい、子どもはすべてタイワンシジミになります。私がタイワンシジミを見つけた水路は、水が枯れることなく、いつも流れています。また、底には、少しの泥が含まれた砂がたまっているところです。こういった条件がそろえば、大量発生することがあります。

絶滅危惧種になったマシジミ(日本固有種)

 マシジミは、私の住む広島県のレッドデータバンクブックでは、絶滅危惧1類に指定され、貴重な生物となっています。人の手があまり加わっていない谷筋を除いてマシジミが絶滅状態に近いことがわかってきました。マシジミの生息地にタイワンシジミが入ってくると、3~4年でマシジミがいなくなり、すべてタイワンシジミに換わるといわれています。たとえ、水質がきれいなところでも、タイワンシジミが進出してくると、タイワンシジミに置き換わるということです。

タイワンシジミの分布を広げないために

 このままでは、日本固有種のマシジミが絶滅してしまいます。絶滅を防ぐために私たちに何ができるでしょうか。以下にまとめてみました。

外来種のタイワンシジミが身近な場所に生活していることを知る

 外来生物のタイワンシジミが水路や川に普通に生活し、日本の固有種であるマシジミが追いやられているという事実をまず知ることが大事です。残念ながら、以前に生息してマシジミが復活したと考えている人も多くいます。

シジミを他の場所に移動させない

 知らずにマシジミだと思って他の場所に放流したり、ホタルの幼虫放流で知らずにエサのカワニナとにいっしょに稚貝が放流されていた例があります。稚貝は粘着性の糸をもっていて小石や水草にも引っついていることがあります。私がシジミを見つけた場所は、小さな谷筋ですが、上流にため池があり、そこには、ブラックバスが生息しています。釣りのために、放流した時に稚貝がまぎれていた可能性があります。

マシジミを見つけたら報告

 広島県では、マシジミを見つけたら、情報提供として、ネット上で連絡をする方法も準備されています。絶滅危惧種の現状把握や生物多様性の保全対策を検討するためのデータの一つとして活用するそうです。

シジミは食べられる

 スーパーなどで売られているのは、汽水域に生活するヤマトシジミです。淡水に住むマシジミは、以前は、普通に見られ、黄疸に効果があるとしてよく食べられていました。タイワンシジミも、一応は食べられますが、日本では、販売の対象とされていません。汚い水の中でも生活していますので臭みがある場合があります。

琵琶湖のセタシジミは食用として販売されています。

冷凍【瀬田しじみ(セタシジミ)500g】びわ湖産天然

また、飼育用にも販売されています。(マシジミとは、保証されていません)

(エビ・貝)マシジミ Sサイズ(20匹)+(4匹おまけつき) 北海道航空便要保温

淡水シジミ 20匹 しじみ 川魚

まとめ

 日本固有種のマシジミは、繁殖力の弱さから、外来生物であるタイワンシジミに追いやられ、絶滅危惧種になっている。最近は、身近な水路などでタイワンシジミの大量発生が観察されるようになった。


マシジミ飼育水槽 日本初 マシジミを飼おう (MyISBN – デザインエッグ社)
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