私の家のすぐ近くの休耕田(湿原)には、小さなトンボが生息しています。毎年、夏になると観察できます。
日本一小さなトンボ(体長2cm)の ハッチョウトンボです。この大きさでもおとなのトンボです。これ以上大きくはなりません。
ハッチョウトンボの特徴
私が撮影した休耕田のハッチョウトンボです
ハッチョウトンボの特徴
・日本で一番小さいトンボ。
・湿原や休耕田などいつも水があり、日当たりが良いところに生息します。
・湿地でも水深があるところにはいません。浅い湿地に生息します。
・国内では、本州・九州・四国に分布してます。この休耕田では、6月~9月に観察できます。
・産卵はメスは単独で打水産卵(だすいさんらん)を行います。打水産卵とは、腹の先を水面に数回連続でつけて産卵する方法です。トンボは種類によっていろいろな産卵方法があります。
・オスは、おとなになると全身が鮮やかな赤色になります。メスは黄色と褐色の縞模様で、やや黒っぽい体形の成体もいます。(上の動画に出てきます)
大きさ
体長は18mm程度。1円玉(直径2cm)の大きさです。私が初めてこのトンボを見たときは、あまりの小ささにほんとうに驚きました。あまりにも小さいので他のトンボと間違えることはありません。
赤とんぼ
オスは、成熟すると鮮やかな赤色になります。いわゆる、赤とんぼの仲間です。しかし、このトンボは、この湿地からあまり離れようとしません。アキアカネ(秋の季語)のように秋に集団で飛びまわるというのはしません。
絶滅危惧種
このトンボは、いつも水のある湿原や休耕田などでしか生活できません。オニヤンマのように家の近くまで飛んできません。非常に生活の範囲が小さい生き物です。湿原などが少なくなっていますので、数も減ってきています。全国の多くの都府県では絶滅危惧種に指定されてます。私の住む県では、絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
オスのなわばり争い
オスは、産卵の時期になると体色が鮮やかな赤色になり、なわばりを持ちます。他のオスがなわばりに入ってくると攻撃をします。私が撮影をしている時、オスは小刻みに逃げていきますが、大きく逃げることはしません。非常に小さななわばりです。 なわばりの外へは逃げていきません。ひたすら、メスが来るのを待ちます。メスは、次から次へ移動して、いろんなオスと産卵をします。
観察した休耕田は狭いので、オスの数は、数匹しかいませんでした。小さな集団です。なわばりを持てるオスはさかんに交尾を行います。
普通、なわばりに入れないあふれたオスは、湿地の悪いポジションで生活をします。この休耕田では、あふれたオスの集団は観測できていませんでした。狭いので、個体数は少なく、この湿地にかろうじて生き延びています。
湿原の危機 休耕田を荒らすイノシシ
私が観察した休耕田には、この写真のように、多くの掘られた穴があります。イノシシは、土の中にいるミミズなどの小動物を食べます。穴を開けながら食べていきます。また、フンを休耕田に時々、残しています。休耕田の環境が変わるとハッチョウトンボがこの場所からいなくなる可能性があります。
この休耕田には、以前にブログに書いたヤマアカガエルもここで毎年、産卵をしています。水が地下から湧き出しており、水が絶えることがありません。ミズゴケも大量に生えており、いろいろなイトトンボやサワギキョウ、キセルアザミの観察もできます。これからも、この場所で、いろいろな生物の観察し、その報告をしていきます。